私が初めて「住宅」を意識したのは今から30年以上前の事です。
父が依頼した不動産業者様、大工さんをはじめ各職人の皆様方を子供ながらに興味を持ち、父と母、そして私達兄弟の「家」が造られる一部始終を見ていました。
その私が今、不動産、建築業に携わり、その奥深さに驚愕し、多くのお施主様のお手伝いを続け、新たな問題や挫折、そして発見と試行錯誤を繰り返し、今日まで過ごして参りました。
お施主様ご自身やご家族と改めて向き合って頂き、生活習慣や趣味、共有する時間のあり方を考慮し、発見と失望を繰り返し、私達や設計士と共に互いの信頼を築き上げていく過程にこそ、良い空間を創造し、大小かかわらず、力みなぎる建築をする事ができる。
その事に気づき、いつしか住宅を造り、提案する事へのこだわりを持つ様になりました。
そこに住む、ということは、お施主様ご家族皆様の生き方を造るという事だ、と実感できるようになったのも、このようなお施主様との出会いを繰り返してきたおかげなのかも知れません。
本来、家とは「選ぶ」ものでは無く「造る」ものだったのではないでしょうか。一昔前の大量生産、大量消費の時代が終わり、次世代へ向けて循環的な性質を問われる時代の到来です。
私達が今、考える「造る」住宅は、子供達の未来を意識した、家本来の「造る」住宅であり、コストや素材はもちろん、お施主様のライフスタイルに合わせた空間の提案です。
それは世代を引き継ぎ、最終的には「土」へ還る住宅です。
世代を超え、未来に引き継いでゆくその全てが、住宅造りの一貫なのだと、私達、東上住宅は考えます。
「造る」という選択
2013年07月01日